シェイクスピアは世界文学の最高峰と言われている劇作家・詩人です。シェイクスピアと言えば一般的に劇作家として知られていますが、戯曲の主要な部分は韻文で書かれています。庶民の日常的な場面や喜劇的な場面などは部分的に散文で書かれており、彼の作品は修辞的で巧みな言葉遣いがちりばめられています。シェイクスピアの言葉は現代英語に多大な影響を与え、今日まで受け継がれています。彼の作品には人間の本質(愛や嫉妬、裏切りなど)が描かれているので雄弁さを競うスピーチやトークでシェイクスピアの言葉を引用したり、世界のエリートはスタンダードな教養として学ぶ人が多いのです。
シェイクスピア英語を学ぶ―時代背景
シェイクスピアが活躍していた時代はイギリスの16世紀後半~17世紀前半でイギリス・チューダー朝の絶対王政全盛期でした。女王のエリザベス1世が統治し、イギリス・ルネッサンスが開花してイギリス文化独特の文学や演劇などが盛んでした。
・シェイクスピアの作品について
彼の作品は主に「愛、嫉妬、野心、復讐、殺人と陰謀、家族の確執」などがテーマとなっています。
作品の構成(プロット)
1.登場人物の紹介
2.問題の提起と混乱(作品のテーマ導入)
3.問題が混沌としてテーマが展開。登場人物の行動と特徴
4.テーマがさらに発展
5.物語のクライマックス(悲劇―死、喜劇―混乱)
6.秩序が回復する
シェイクスピアの時代、イギリスの宗教は大きく3つに分かれていました。
・カトリック
・イギリス国教会
・国教会改革派(ピューリタン)
エリザベス1世は、先代メアリ1世のカトリックを改めイギリス国教会による宗教制度を復活させていました。エリザベス女王の死後、スコットランドの国王ジェームズ6世がイングランド国王も継承しジェームズ1世として即位(1603年)。当時、イギリス国内では国教会改革派との争いが激化していたため、国王はピューリタンを迫害し社会は混沌としていました。
→シェイクスピアの時代は宗教や信仰がとても重要でした。
→シェイクスピアの作品に宗教観が見られるかどうかは人によって解釈が異なっています。
彼の作品の中には苦悩や苦痛を羅列して登場人物の怒りや絶望、恐怖を駆り立て、向き合わなければならない事実や現実を物語に反映させていました。
The Tempest「テンペスト」など
・シェイクスピアの名言
You gods, will give us. Some faults to make us men.
神は、我々を人間にするために、何らかの欠点を与える。
Antony and Cleopatra「アントニーとクレオパトラ」
It is not in the stars to hold our destiny but in ourselves.
運命は星が決めるのではない、我々の思いが決めるのだ。
The Tragedy of Julius Caesar「ジュリアス・シーザー」
There is nothing either good or bad, but thinking makes it so.
ものの良し悪しは考え方ひとつで変わる。
The Tragedy of Hamlet, Prince of Denmark「ハムレット」
シェイクスピアの作品には人間の本質が鋭く描かれています。世界のスタンダードな教養として著名人や起業家、作家だけでなく一般人の間でも広く浸透し読み継がれています。イギリスでは中学生でも一般教養としてシェイクスピアの作品を学びます。英語のネイティブでもシェイクスピアを読みこなすのは難しいので、映画化されている作品を見るのもおすすめです。
シェイクスピア英語と現代英語の違い
シェイクスピア英語は現代英語と違うため難しく感じるかも知れません。英語で彼の作品を読んでみたい場合、以下を参考にしてください。
Shakespeare and Modern English
art | are | |
hadst | had | |
hence | here | |
ill | bad | |
o’er | over | |
thee | you(目的格) | |
thou
you |
you(主格)
you |
侮辱したり、近くにいる人に話しかけるときに使う。
誰か遠くにいる人に対して話しかけるときに使う。 |
thy | your(所有格) | |
whence
wither |
where (from)
where (to) |
|
wouldst | would |
シェイクスピアの作品には古い英語が使われているので難しいイメージがありますが、彼はたくさんの言葉を紡ぎ出し今日でも使われています。
As dead as a doornail(完全に死んでいる)
(昔の戸の)鋲釘のように全く動かない→死んでいるという意味になる
シェイクスピア英語の特徴
シェイクスピアの作品は修辞的で巧みな言葉遣い、語呂合わせ、論理の遊びなどがふんだんに盛り込まれています。彼は劇作家として有名ですが詩人でもあるため、彼の作品はリズミカルで韻を踏んでいるのが特徴です。
・韻とリズム(Rhyme and rhythm)
Blank verse(無韻詩) | 10音節、韻を踏まない、登場人物のトークに用いる |
Iambic pentameter(弱強五歩格) | 10音節交互に強勢をつける、シーンの始まりと終わりに用いる |
Rhyming couplets(押韻の二行連句) | 主要人物の重要なスピーチやシーンに用いる |
Prose(散文) | マイナーな登場人物、普通の文やパラグラフに用いる |
Romeo & Juliet; Act 1, Scene 2, Line 24-25
Capulet:
At my poor house look to behold this night
Earth-treading stars that make dark heaven light:
押韻の二行連句は、主要人物の重要なスピーチやシーンに用いられ、うまく締めくくるために効果的に使っています。
The witches in Macbeth; Act1, Scene 1, Line 1-2
When shall we three meet again
In thunder, lightning or in rain?
また、押韻の二行連句は特別なムードを醸しだし、登場人物や出来事を違ったやり方で描写するために用いられています。
・イメージと印象的な言葉(Imagery and Striking words)
Example:
In ‘Macbeth’, images of darkness are used to symbolize Duncan’s murder.
「マクベス」の邪悪なイメージは、ダンカン殺害のシンボルとして用いられている。
そのほかにも以下のような特徴が作品の中に見られます。
・Soliloquy(独白、モノローグ)
独白は登場人物の心の内をステージ上で一人で語るときに用いられます。これによって観客に重要な情報だということを伝えています。また、他の登場人物には気づかれていない思いや動機などが語られます。
・Oxymoron(撞着/矛盾 語法)
撞着(矛盾)語法は、両立しない言葉を組み合わせて修辞的効果を上げるために使います。
シェイクスピアを読みこなすには、英語力(シェイクスピア英語)だけでなく時代背景や歴史的な観点から作品を読むことが必要になります。
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まとめ
シェイクスピアの作品は400年以上も前に書かれたものですが、現代人にも多大な影響を与えて受け継がれ、日常的に使われています。特に人間の本質を鋭く描写している言葉は多くの人の心に響いています。シェイクスピア英語は古い英語で難しいイメージがありますが世界のスタンダードな教養として身につけておきましょう。
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