英語を勉強しているのに英語が上達せず伸び悩む人が少なくありません。英語力が停滞してしまう根本的な原因が分かりますか。英語ができるようになるまである程度時間がかかりますが、努力と相対的に英語力が伸びるとは限りません。その場合、英語の勉強法に問題があります。英語の基礎力をつけるには音声から学ぶ必要があります。基礎力がない状態で勉強を続けても頭打ちになって英語が伸び悩みます。
英語が上達しない原因と解決策
英語学習にはさまざまなやり方があり指導法、勉強法、スキルも千差万別です。ある人にとっては大変効果があった勉強法だとしても他の人にも同じような効果があるとは限りません。
・英語が上達しない根本的な原因
英語学習が進むと英語の基礎を疎かにしてすぐに中・上級レベルの教材や学習に移行しがちですが英語が伸び悩む原因となります。ここでいう英語の基礎とは発音やリズムなどを含めた「リスニング力」のことを指します。基礎が弱いと中級以上の英語力に到達することができません。とくに英語はイントネーションにより意味が変化し、リズム性が高い言葉だからです。英語が上達しなくてスランプ状態の人は英語の基礎であるリスニング力を高めるようにしましょう。
・やってはいけないたった1つのこと
英語が伸び悩んでいる人は英語の基礎(リスニング力)を高める必要があると分かりました。具体的な学習方法は後ほど説明しますが、英語の基礎をつける上でやってはいけないことがあります。それはずばり「英語を日本語で考える」ことです。
英語の音声を聞いているとき、英文を読んでいるとき、日本語に訳してはいけないということです。
英語を日本語に訳して考えてしまう悪癖をなくす努力をしなければなりません。言い換えると、英語を習得するには英語を英語で思考することができるようになる必要があります。
それでは、英語で思考するとは具体的にどういうことなのでしょうか?
母語話者は言葉を獲得するときに言葉の形式(音や文字などの言語情報)と意味(概念やイメージ)を一致させています。例えば英語のネイティブスピーカーはAppleという言葉を聞くと赤くて丸い果物をイメージします。
音と概念を一致させる作業をたくさん繰り返すと、さまざまな物事の概念が頭の中に蓄積されていき英語で思考することができるようになります。つまりAppleは「りんご」ではなく、赤くて丸い果物の概念が思い浮かぶようになるのです。
英語を英語で考えることができないと、頭の中ではいつも日本語に訳してから英語を考えている状態となります。すると英語の理解力やスピードに追いつくことができずいつまでたっても英語が聞き取れない、理解できないままです。
・英語の基礎はリスニング
英語の基礎はリスニングです。そのため英語の勉強は音声を中心に行います。英語をたくさん聞くことで自分の耳(脳)に英語をコピーします。音声を無視して文字を頼りにしてしまうと知っているはずの単語さえ聞き取ることができなくなり、文字を確かめないと意味が分からない状態になってしまいます。
リスニング力を高めるには何度も英語を聞いて英語のスピードに慣れる必要があります。英語学習者がリスニングを行う際に重要なのは、理解できる内容の教材を選ぶことです。意味が分からないような内容のものはいくら聞いても分かるようにはなりません。
英語が苦手な方は、なるべく難しい語彙や表現を避け子供レベルのやさしい英語にたくさん触れましょう。すると英語を英語のまま理解し、英語で思考する準備が整います。
・リスニング力を高める教材
英語の基礎はリスニングであるため音声を中心とした学習を行いましょう。リスニング力を高めるためにおすすめの教材をご紹介します。
・市販の音声教材
・絵本(CD付き)
・子供向け教育番組
・映画、ドラマ、マンガ、アニメ
・ラジオ、TV、CD、DVD
音声や画像は学習者が理解できる内容のものがベストです。イラストや状況から英語を英語のまま理解・思考できるようにするため、内容と画像が一致していなければなりません。また、字幕や音声を消しても内容が理解できるものを選ぶと失敗しません。
英語は丸暗記ではなく文の構造や単語の概念をきちんと理解し、頭の中で英語の文章を組み立てて覚えるようにします。やさしい英語をたくさん聞いたり読んだりしてリピート練習をたくさん行うとネイティブの子供に近い状態になり英語脳ができあがります。
リスニング力を高める勉強法
リスニングとは英語を聞き取ることです。リスニング力を向上させるにはリスニングが持つ二面性について理解する必要があります。
・リスニングの二面性
リスニングには、音を聞き取る音声的な側面と意味を理解する言語的な側面をもちあわせています。前述したように、母語話者が母語を獲得するように音声と意味を一緒に理解する必要があります。そのとき、その単語の発音が正しくできないと聞き取ることができません。
例えば、Appleの正しい発音を知らないで「アッププレ」という間違った発音で覚えてしまうと聞き取れません。
リスニングには音声面と言語面を理解する必要があると分かりました。
リスニング力についてまとめると以下のようになります。
〇聞き手は、音声を聞いてその意味を理解しなければなりません。
〇英文が長くて複雑な場合、その文の構造や文法を解釈する必要があります。
「単語→フレーズ→センテンス」と英文が長くなればなるほど聞き取りは複雑になります。そのためリスニングは受動的なものではなく、複雑で能動的だと言えます。
・リスニングの勉強法
リスニングとは聞こえてきた音声情報を識別し、その語の意味や文の構造を理解することです。そのためリスニング力を高めるには、語彙の増強(発音練習も含める)や構文の知識が不可欠です。そして自分のレベルに合った教材でシャドーイングやディクテーションなどを行うと英語が聞き取れるようになります。
・ディクテーション
ディクテーションとは英語の音声を聞きながら、それを書き取っていくことです。
英語の聞き取り練習で英語の音声と文字を一致させていきます。
ディクテーションをする際には必ずスクリプトを用意しましょう。
実際に聞こえてきた音と紙に書き取った自分が認識している音との違いを照合するためスクリプトが必要です。
答え合わせをしたとき、実際の音と書き取った音の違いがあるところが聞き取れない原因となっています。
間違った箇所は何度も英語を聞いて音読し、正しい発音を刷り込んで英語が聞き取れる耳にしていきます。
・シャドーイング
シャドーイングとはテキストを用いず音声のみを聞きながら、数秒遅れでリピートしていくことです。英語を聞きながら声に出して発音するため負荷が高く、初心者がいきなり行っても英語のスピードについていくことができません。また基本的な英語力(語彙や構文)がない場合も挫折しやすいです。
挫折の原因
〇英語のスピードに慣れていない
〇リスニングが弱い(音声の聞き取り)
〇英語の基礎が弱い(語彙・構文)
シャドーイングはある程度英語が聞けるようになってから行うと効果的です。
いきなり英文を聞いてシャドーイングを行うのが難しい場合、次のステップを踏みましょう。
1.あらかじめ英文に目を通して内容を理解し、テキストを見ながら音読します。
2.テキストを見ながら同時に発音(オーバーラッピング)を行うと負荷が軽くなります。
3.最終的にはテキストを見ないで音声に少し遅れながらシャドーイングを行います。
まとめ
英語の基礎はリスニングのため、英語力を伸ばしたいなら英語の勉強は音声中心に行いましょう。そのとき日本語に訳さないで英語で思考・理解するように心がけてください。リスニング教材は英語を英語のまま理解できるように自分のレベルに合った内容のものを選びましょう。