英語を外国語として学んでいる日本人にとって英文法の知識は欠かせません。英語と日本語は言語の構造があまりにもかけ離れているため英語を勉強しても伸び悩む人が多いです。一時、英文法は必要ないといった風潮がありました。イマージョン教育(母語を用いない)は脳がやわらかい子供には効果がありますが、母語が確立されている大人の頭の中には既に日本語の文法が凝り固まっているため英語を勉強しても母語干渉があります。そのため英語を習得するには英文法の知識が必要になります。今回は英文法を学び直したい人向けにおすすめするレベル別参考書をご紹介します。
英文法を学び直したい人におすすめの参考書
英語を学ぶうえで語彙と文法はとても重要な役割を担っています。
小さな子供は日常耳にする音を聞いて自然に文法に関する規則性などを身につけます。
しかし大人は子供とは違って自然に習得することができないので文法を学ぶ必要があります。
Floraは学生時代、英語が好きだったけれど全然できなくて何度も挫折しました。
→もともと英語ができなかったので、躓くポイントも分かります。
英語力0から英語を学び直したFloraが実際に使ってきた英文法書をご紹介します。
私たちは母語の日本語を流暢に話すことができますが、文法についてあまり意識したことがないと思います。外国人に日本語の文法を聞かれたらうまく答えられないかも知れません。
英語に関しても勉強がだんだん難しくなっていくと主語、述語、動詞、名詞、形容詞、副詞、動名詞、不定詞、関係代名詞、仮定法など・・・文法用語がたくさん出てきて書籍を読んでも解説自体が難しいかも知れません。
そのため英語初心者や英語を学び直したい人は解説がやさしい、簡潔にまとめられている本がおすすめです。
・英文法高校大学編 新英語をもう一度最初から
ちょっと古い本なのですが、英文法の用語の解説が丁寧で内容も重要な点だけ簡潔にまとめてあります。英語初心者や英語が苦手でやり直す人におすすめです。
例:第2章 分詞とは
分詞とは、動詞の原形から「分かれて」出来た「詞(ことば)という意味です。つまり、分詞とは、動詞の原形を変化させて出来た単語という意味にすぎないわけです。
要点15 分詞の種類は、現在分詞と過去分詞だけである。
現在分詞とは動詞の原形に~ingをつけたもの
call→calling、read→reading
過去分詞とは動詞の原形に~edをつけたもの、または原形を不規則に変化させたもの
play→played、write→written
要点17 過去分詞の初歩的な使い道
名詞のことを説明する役目、つまり形容詞の役目をする。
過去分詞は、直前にbeがついていなくても受身を意味するという特徴があります。
He sells boiled eggs.(彼はゆでられた卵を売っている。)←ゆで卵を直訳してあります
分詞(現在分詞、過去分詞)の解説と、どのような形にして使うのか概要がまとめられています。
→動詞の原形に~ing/~edが付くと現在分詞/過去分詞
これらは進行形や受身の働きがあるだけでなく形容詞の働きをして名詞を修飾(説明)します。
・総合英語フォレスト Forest
高校生や英語をやり直したい社会人には『総合英語フォレスト』をおすすめします。
東進ブックス『英文法高校大学編 新英語をもう一度最初から』よりも内容が深いです。
フォレストは高校生レベルの英文法書で、文法項目の解説や例文のレイアウトが一目で見て分かりやすく、内容や解説も丁寧なので英語を忘れてしまった社会人にも最適です。
英文法を学び直したい英語中級者以上におすすめの英文法参考書
大学生、中級レベル以上(目安:英検2級以上~)の社会人は下記のものをおすすめします。
・表現のための実践ロイヤル英文法
この英文法書はネイティブスピーカーとの共著で英語で表現するために必要なものを精選してあります。
基本的で正確な文法力で正しい英文を構築できるような内容になっています。
本当に伝えたい英語が書ける、話せるようになる英文法書です。
例:遠慮がちな気持ちを表すwould
wouldは、couldと同じように、条件のif節が省略された仮定法に使われることが極めて多い。
would like to(=want toをやや丁寧にしたもの)もその1つである。if節の省略されたwould like toは、ニュアンスとして「もし差し支えなければ」や「もしできましたら」などといったいささか遠慮がちな感じのものなので、全体として、柔らかく、丁寧な印象を与える表現になるのだ。
・一億人の英文法/英会話
英文法書と言っても辞典のような感じではなく、文型を意識して作られている語法の本といった感じです。
図が多く挿入されているのでネイティブスピーカーの感覚や文法の解説が分かりやすい。
→可算/不可算名詞、theの使い方など参考になります
例文は会話に使えるような実践的なものになっているのでスピーキングを伸ばしたいなら『一億人の英会話』と一緒に使うことをおすすめします。
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◆覚えておきたい基本的な文型と品詞【句・節】
S=主語
V=動詞 O=目的語 C=補語 M=修飾語 |
名詞【句】to不定詞、動名詞【節】主語、目的語、補語になる名詞節、同格になる名詞節、
形容詞【句】to不定詞、分詞、前置詞+名詞【節】関係代名詞・関係副詞が導く形容詞節 副詞【句】to不定詞、分詞、前置詞+名詞【節】副詞として働く副詞節 |
・S(主語)は名詞(類)だけである。
・O(目的語)は名詞(類)だけである。
・C(補語)は名詞(類)または形容詞(類)が使われることが多い。
S(名詞類) | V | O(名詞類) | O(名詞類) | C(名詞類・形容詞類) | |
第1文型 |
主語の拡張 【句】~ ing / to不定詞
【節】名詞節 |
自動型 | |||
第2文型 | 説明型 | 説明語句の拡張
【句】~ ing /to不定詞 進行形 ~ing受動態 ~ed
|
|||
第3文型 | 他動型 |
目的語の拡張 【句】~ ing / to不定詞 |
|||
第4文型 | 授与型 | ||||
第5文型 | 目的語説明型 |
説明語句の拡張 【句】分詞 ~ing/~ed 原形動詞/to不定詞 前置詞+名詞 |
英文法を学び直したい―洋書で学ぶ英文法
英語で書かれていますが、やさしい語彙を使って説明してあるので中級以上の英語力があれば理解できます。
日本語で書かれている文法書よりも英語を深く理解できます。
・English Grammar in Use
世界的なベストセラー英文法書のEnglish Grammar in Use
多くの英語の達人が推薦しています。
英語で説明していますが図やイラストが多く視覚的に分かり易いです。
仮定法で使われるwouldですが、本書では以下のような解説となっています。
We use would (‘d) / wouldn’t when we imagine a situation or action (= we think of something that is not real)
・It would be nice to buy a new car, but we can’t afford it.
willとwouldの比較
・I’ll stay a bit longer. I’ve got plenty of time.
・I’d stay a bit longer, but I really have to go now. (so I can’t stay longer)
willの解説も載せておきます。(意志と未来)
We use I’ll (= I will) when we decide to do something at the time of speaking.
Do not use will to talk about what you have already decided or arranged to do.
Generally, we use will to talk about the future, but sometimes we use will to talk about now.
・Don’t phone Ann now. She’ll be busy. (= she’ll be busy now)
・The Heinemann ELT English Grammar
English Grammar in Useほど練習問題はついていませんが、こちらの本のほうがレイアウトがごちゃごちゃしていないので見やすいです。基本的なことは網羅していますが内容はそんなに深くありません。英語初心者だけど洋書でも勉強したい人におすすめです。
Hein Eng Grammar 2nd Edn No Key 中古価格 |
Example:23 Future continuous: will be + … ing
*We often use will be + …ing as a polite way of asking about someone’s plans, especially when we want someone to do something for us.
未来時制(疑問文)
Will you~? 「~でしょうか?」と単純に未来を尋ねることもあれば
Will you~? 「~してくれませんか?」と依頼や要求を表すこともあります。
Will you be ~ing ? 「~するつもりですか?」と予定を尋ねています。
→ 遠回しに丁寧な依頼の意味を含む
文法はやさしい本からスタートして基本の意味や形を覚えます。
学習が進むにつれ様々な使い方や意味が出てきます。
→その段階になったら少しレベルの高い本に移りましょう!
はじめから中級者以上向けに書かれている本を読んでも意味が分からず挫折の原因になります。
自分のレベルに合わせて文法書を選んでレベルアップしていくと良いです。
また、洋書の英文法書も併せて読んでみると英語をより深く理解できます。
ただ、文法は必要以上に深く追求する必要はなく、英語を読んだり書いたりした時に文法書を開いて正しい意味や使い方を確認するというスタンスでよいと思います。
まとめ
今回は語彙と同じくらい重要な英文法について書きました。英語が苦手だった人はやさしい初心者向けの英文法書からスタートして徐々にレベルをあげていくと良いです。英文法はざっと基本的なことを頭に入れて、自分の英語のレベルが上がったら本も内容の深いものに変えていきます。しかし、言語学者になる訳ではないので文法を深く追求する必要はありません。細かいルールや疑問点はその都度辞書を引くような感じで確認していくと良いでしょう。