映画ラスト・キングダム|死すべき七人の王【5分で分かるあらすじと解説】

本作はバーナード・コーンウェル著の小説シリーズ「サクソン物語」を脚色したラスト・キングダムのドラマシリーズ続編にあたります。映画の舞台は937年のイングランドでエドワード王の死後、後継者エゼルスタンが王位に就きアルフレッド大王の夢であったイングランド統一を叶える完結編。ラスト・キングダムを楽しむために物語の世界観も解説します。

 

映画 ラスト・キングダム|あらすじと解説

 

映画ラスト・キングダム「死すべき七人の王」は、Netflixドラマシリーズの続編であり完結版になります。

 

関連記事

ラスト・キングダムはイギリスの史実を元に制作された歴史ドラマです。バーナード・コーンウェル著の小説シリーズ「サクソン物語」を脚色したもので、アングロ・サクソン時代の7大国の統一を夢見たアルフレッド王の治世と後継者争い、バイキングの襲撃を軸に[…]

 

 

バーナード・コーンウェル『サクソン物語』

・七人の王は死す(2023)

サクソン物語の12,13冊目「王の剣」「戦争の王」

エドワード王の死後、王位継承権を巡る対立とエゼルスタンのイングランド統一(937年)

 

 

死すべき七人の王(あらすじ)

 

エドワード王の重病説を耳にしたアイルランドのバイキング・アンラフ王は、軍を率いてノーサンブリアに到着します。エドワード王が亡くなった後、息子たちは王位継承権を巡って対立。エドワード王の長男エゼルスタンによる弟エルフワードの暗殺計画を知ったウートレッドは、襲撃を阻止するためにエルフワードの元にかけつけて降伏するように説得します。実はウートレッドが出発する前、戦士フィナンの妻からイングランドが統一される前に「7人の王が死ななければならない」という予言を言い渡されていました。

 

エゼルスタンは、顧問インギルムンドの言いなりになっていてエルフワードを殺してしまいます。またエオフェルウィック(ヨーク)では、ノーサンブリア前王の死後エゼルスタンが権力を握り、圧力をかけて異教の記念碑を破壊していました。エゼルスタンの無慈悲な行いを目の当たりにし、家臣アルドヘルムから警告を聞かされていたウートレッドは、インギルムンドのことで忠告をします。しかし密告者のアルドヘルムは裏切り者として絞首刑になりウートレッドは追放されます。

 

その頃、アンラフ王はストラスクライド、オークニー、シェトランド、マン島などの統治者らと会談していました。エゼルスタンがスコットランド侵攻に乗り出したため、スコットランドのコンスタンティン王は他の統治者らと同盟を組むことになります。

 

イングランド統一に関する予言

7人の王が死ななければならない:

・ストラスクライド王

・オークニー王

・シェトランド王

・マン島王

・スコットランド(コンスタンティン/アルバ王)

・イングランド(エドワード)

・ノーサンブリア(ウートレッド)

 

祖父アルフレッド王のイングランドとキリスト教徒を統一する夢を叶えることが、彼が大罪とみなしている同性愛を償うことになると確信していたエゼルスタンは、インギルマンドの策略を知りウートレッドと和解してブルナンバーの戦いに挑みます。この戦いでエゼルスタンが勝利しウートレッドの助言により異母弟エドマンドを後継者にすることと引き換えにノーサンブリアをエゼルスタンに譲渡し、イングランドを統一した最初の王となります。戦いの後、5人の王たちはアンラフを見捨て、捕虜のインギルムンドは処刑され、ウートレッドは重症を負ってしまう。

 

 

予言に関して

フィナンは、エドワードと戴冠することのない5人の王の死は部分的にしか当たっていないと主張します。しかしこの戦いで致命傷を負ったウートレッドはヴァルハラの幻影を体験し、亡くなった友人らが待っているのを見て7人目は自分ではないかと思います。

 

 

イギリスの史実

Athelstan(在位924~939)アゼルスタン

924~927年アングロ・サクソン人の王

927~939年イングランド王

イングランド全土を統治する初代イングランド王(エドワード長兄王の子)

ブルナンバーの戦い(937年)

イングランド王アゼルスタン

ダブリン王アンラフ

スコットランド王アルバ

ストラスクライド王オーウェン

 

 

北欧神話や異教について(解説)

 

ラスト・キングダムでは、ドラマや映画を通して北欧神話や異教の神が登場します。バイキングたちはオーディンやフレイヤなど北欧の神々を信奉し、ルーン文字を用いて占いを行いました。バイキングにとって神々への信仰は生活と密接にかかわったもので、人々は家ごとに頼りとする神を決め、願いがあれば供養を行いました。

 

ヴァルハラ

ヴァルハラとは直訳すると「戦死者の館」という意味です。戦死者の半数は北欧神話の中に登場する神オーディンが統治する館ヴァルハラに入り、残りの半数は女神フレイヤが支配するフォルクヴァングル(草原)に行きます。

 

 

オーディン

北欧神話の主神で多くの神々の父。魔法の槍グングニルを持ち、つば広の帽子を被って青いマントを羽織っている老人。策略や裏切りをいとわない性格である。

・戦争と死の神

・呪術の神

・知識と詩芸の神

 

 

フレイヤ

人々に愛を与える多情な女神フレイヤ。魔術や戦場を司ることもある。

・愛と豊穣の女神

・呪術の女神

・戦争の女神

 

700年~1100年頃にかけてデンマークやその他の北欧地帯のバイキングが北ヨーロッパの多くの地を侵略しました。とくにイングランドやアイルランドでのバイキングの評判は悪評が高く、教会や修道院で略奪行為を行い、多くの場合は征服した土地に定住しました。9世紀にはデンマークの王室は権力争いが激しく、バイキングの首領たちの多くが遠征に出て戦いに勝ち、強くなって戻っていきました。有名な石碑にもルーン文字で統治したと刻まれています。また、バイキング時代を通じて商業と経済が栄え、ロスキレも王の権力と教会の中心地となりました。

 

 

ルーン文字

北欧神話には天と地を貫くトネリコの木が登場します。これは宇宙樹(ご神木)ユグドラシルと呼ばれ、ルーン文字はこの樹に隠されていた神秘の力です。オーディンはルーン文字の魔力と使い方を弟子たちに伝え、現在まで受け継がれています。人々はルーン文字を木片や石に刻んで願いを叶える護符にしたり、ルーン文字の意味から未来を予言する道具にしました。

 

 

デンマーク・ロスキレ

デンマーク最古の街の1つでバイキング船博物館があります。かつてバイキング船がロスキレ湾底から発掘され展示されています。世界遺産にも登録されているロスキレ大聖堂にはデンマーク歴代国王の棺が安置されています。

 

ロスキレ大聖堂

 

 

北欧の船

バイキング行や交易に必須だった異教時代の北欧の船は、竜骨、マスト、帆、蛇、オール穴などが特徴で生活から切り離すことができない大切なものであった。

 

・戦闘船:船体が短く幅が狭いため船足が速く小回りに利く。船には盾がついていた。

・商業船:船体が長く幅が広い。船体中央は積載スペースで移住の際にも用いられた。

 

バイキング船博物館:

ロスキレ湾から発掘されたバイキング・シップ

 

 

デンマーク・シェラン島の北部にあるロスキレは、首都のコペンハーゲンから電車で約20分。コペンハーゲン市内観光と一緒に見学することをおすすめします。

 

 

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ネットフリックス|Seven Kings Must Die(死すべき七人の王)

 

2023年に公開されたイギリスの歴史映画

原作はバーナード・コーンウェル著の『サクソン物語』で、Netflixドラマシリーズの続編・完結版になります。

 

 

関連記事

イングランド北東部ノーサンバーランド州の海岸沿いにあるバンバラ城は、北海を見下ろす高台にあるお城です。ベルニシアのアイダはこの場所を占領し、初代アングロ・サクソン王としてバンバラ城を建設しました。中世にはノルマン人やスコットランド人との争い[…]

 

 

監督:エドワード・バザルジェット

主演:

・ウートレッド(主人公):アレクサンダー・ドレイモン

・エゼルスタン(エドワード王の息子):ハリー・ギルビー

・フィナン(戦士):マーク・ローリー

・ピルリグ神父:キャヴァン・クラーキン

・インギルムンド(顧問):ローリ-・デイヴィッドソン

・コンスタンティン王:ロッド・ハレット

・アンラフ王:ペッカ・ストラング

 

キャストが多いため主要な登場人物を掲載しています。また、制作中にエドワード王役のティモシー・イネスほか数名のキャストが上映時間の短縮のため映画からカットされました。ラスト・キングダムは勇猛果敢な戦士が織りなす壮大なアクションと美しい景観が融合したイギリスの歴史ドラマ、映画です。バイオレントなシーンが多いですが、力強い脚本と息をのむストーリー展開、説得力のあるキャラクターは迫力があり、史実に基づいた内容ということで全編を通して大変興味深かったです。

 

Netflix公式

https://www.netflix.com/gb/title/81460361

 

 

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まとめ

 

映画ラスト・キングダム「死すべき七人の王」のあらすじと解説をしました。アングロ・サクソン時代の王や、歴史的史実、北欧神話などを分かりやすく簡潔にまとめました。まだまだ書きたいことがあったのですがまとめきれなかったため、キリスト教や聖人などは他の記事に執筆しようかと思っています。

 

 

 

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