イングランド北東部ノーサンバーランド州の海岸沿いにあるバンバラ城は、北海を見下ろす高台にあるお城です。ベルニシアのアイダはこの場所を占領し、初代アングロ・サクソン王としてバンバラ城を建設しました。中世にはノルマン人やスコットランド人との争いがあり、現在は建物の一部が一般公開されています。また、映画やドラマの撮影に使用されることが多い有名なお城で、「ラスト・キングダム」はアングロ・サクソン時代の英歴史ドラマでバンバラ城が作品に登場しました。
バンバラ城とイギリスの歴史
・バンバラ城の由来と歴史(アングロ・サクソン時代)
バンバラ城が位置するこの場所は、以前はケルト系ブリトン人の砦がありベルニシア王国の首都であった可能性があります。ローマ帝国滅亡後、5世紀頃ブリテン島に侵入したゲルマン民族(アングロ・サクソン人)の一派アングル人は現在のスコットランド南東部とイングランド北東部に王国を建国しました。547年ベルニシアのアイダがバンバラを占領して初代アングロ・サクソン人の王として君臨し、バンバラ城を建設しました。
King Ida (治世547~559)アイダ | 初代アングロ・サクソン人の王、バンバラ城(ベバンバーグ)を建設 |
King Aethelfrith(593~616)エセルフリス | アイダの孫、ベルニシアとデイラ(ノーサンブリア)を統一 |
Queen Bebba ベッバ | エセルフリスの妻、バンバラの名前の由来 |
King / St. Oswald(633~642)オズワルド | エセルフリスの子、ノーサンブリア王、キリスト教の普及、642年に戦死した殉教者 |
St Aidan エイダン | アイルランドの修道士、リンディスファーン修道院を創設、オズワルドの命によりキリスト教の信仰を広める |
King of Northumbria Edwin(616~632)エドウィン | キリスト教に改宗した初めてのノーサンブリア王 |
*700~993年 バイキングの襲来 | バイキング時代になるとノーサンブリアは分裂し、アングロ・サクソンの伯爵が統治するようになる。 |
The Bamburgh Earl Oswulf(934~954)オスウルフ | バンバラ伯爵オスウルフ1世 |
Uhtred(1006~1016)ウートレッド | オスウルフの曾孫、1006年以降ノーサンブリアの領主となりバンバラを統治、スコットランド王マルコム2世の軍を撃退 |
・バンバラ城の由来と歴史(ノルマン征服前後)
5世紀頃、現在のドイツ北岸からブリテン島に渡来したゲルマン系民族(アングル人、ジュート人、サクソン人)のことを総称してアングロ・サクソン人と言います。彼らは先住のケルト人を征服し7つの大国を作りました。
アングロ・サクソン諸国はバイキング時代になるとデーン人の侵入によって打撃を受けましたが、878年にウェセックスのアルフレッド王がデーン人に打ち勝ってイングランド南部を制圧し。アルフレッドの曾孫エドガー平和王時代になると北部も統一されました。
・ノーサンブリア王国(イングランド北東部、アングル人)
・イースト・アングリア王国(イングランド南東部、アングル人)
・マーシア王国(イングランド中央部、アングル人)
・ケント王国(イングランド南東部、ジュート人)
・エセックス王国(イングランド南東部、サクソン人)
・サセックス王国(イングランド南東部、サクソン人)
・ウェセックス王国(イングランド南西部、サクソン人)
Alfred the Great(在位871~899)アルフレッド大王 | ウェセックスの王、アングロ・サクソン時代の大王でイングランド南部を統一 |
Edward the Elder(899~924)エドワード長兄王 | アルフレッド大王の子、エゼルウォルドと王位を巡って破り王位に就いた |
Athelstan(924~939)アゼルスタン | 924~927年アングロ・サクソン人の王
927~939年イングランド王 イングランド全土を統治する初代イングランド王(エドワード長兄王の子) |
*アングロ・サクソンの北部支配が崩壊 | アゼルスタンの死後、バイキング王の台頭により北部を失い、再び支配権を取り戻すことになる。 |
Edmund(939~946)エドマンド | エドワード長兄王の子(アゼルスタンの異母弟)、第2代イングランド王 |
Edgar the Peaceful(959~975)エドガー平和王 | イングランドの統一が完成、デーン人の侵略から解放された平和な時代(エドマンドの子、アルフレッド大王の曾孫) |
Edward the Confessor(1042~1066)エドワード懺悔王
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イングランド王国を統治した最後のアングロ・サクソン系の君主、ウィンチェスター大聖堂にて即位・戴冠式 |
Willian the Conqueror(1066~1087)ウィリアム征服王 | イングランドを征服(ノルマン・コンクエスト)、ノルマン朝の初代イングランド王 |
・バンバラ城の由来と歴史(中世~近代)
バンバラ城はイングランド王の所有となり現在の城の基礎となりました。1330年イングランド王エドワード3世の妻フィリッパ・オブ・エノーはスコットランド独立戦争に伴いバンバラ城で包囲されたが城を守ったと言われています。
1346年:スコットランド第二次独立戦争
スコットランド王デイヴィッド2世は、ネヴィルズ・クロスの戦いで敗れた後、バンバラ城の捕虜となった。
1464年:薔薇戦争:ランカスター家とヨーク家の30年に及ぶ権力闘争
内乱でたびたびヨーク派に捕らえられたランカスター家ヘンリー6世。バンバラ城は彼をかくまっていたため戦争中に陥落した。
1603年:スコットランド王ジェームズ6世(イングランド王ジェームズ1世)
スコットランドとイングランドの王権統合後、バンバラ城は防衛の目的を失った。
1610年:王室の放棄
ジェームズ1世は、長年の王室への奉仕を称えて城の最後の管理人であったクラウディウス・フォスターに要塞を与えた。
1894年:実業家ウィリアム・アームストロング
バンバラ城はクラッグサイドの最初で最後のアームストロング卿(ウィリアム・アームストロング)が城を購入し、要塞を修復・保存した。
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バンバラ城のゲート(長い歴史を紹介)
The Gatehouse
Constable Tower
The Battery Terrace
The Keep(天守閣)
・バンバラ王座
The Inner Ward
・カーテンウォールと海の眺め
・聖ペテロ礼拝堂(廃墟)
・ステートルーム
グレート・キッチン |
王の大広間 |
クロス・ホールとキャプテンの宿舎 |
ビリヤード室とフェア・チェンバー |
武器庫とコートルーム |
キープ・ホール |
家内宿舎 |
ステートルーム内部の写真(コートルーム)
The East Ward
・レナ・ホルフォードによるクラス・ハウスの彫刻
・馬小屋
・時計塔
・ネヴィル・タワー
The West Ward
・アームストロング&航空博物館
・風車
・聖オズワルド門
風車と北海の眺め
バンバラ城と歴史ドラマ・映画
バンバラはサクソン語でベバンバーグと言います。イギリスの歴史ドラマ「ラスト・キングダム」は主人公のウートレッドが故郷のベバンバーグを奪還するお話です。ウェセックスのアルフレッド王とは反発しながらもイングランド統一に向けてバイキングを制圧します。
バーナード・コーンウェル著『サクソン物語』を原作としたイギリスの歴史ドラマ
サクソン物語は9~10世紀のイングランドの誕生を描いた歴史小説
5シリーズ・46エピソード(Netflix)
バーナード・コーンウェル著「サクソン物語」の主人公ウードレッドの生まれ故郷。バンバラ城はラスト・キングダムのほかにも、インディ・ジョーンズ/運命のダイアル、マクベス、エリザベスなど数多くの映画やドラマの撮影場所として使われています。今回旅行に行ったとき、ちょうどバンバラ城ではラスト・キングダムの展示をやっていました。
(写真右:ラスト・キングダムの展示物)
住所:Bamburgh, Northumberland NE69 7DF
行き方:ニューカッスル・アポン・タインから車で1時間
オフィシャルサイト
https://www.bamburghcastle.com/
最寄りの主要駅はニューカッスル・アポン・タインやエディンバラです。近隣にはハリーポッターで有名なアーニック城もあります。ノーサンバーランドにはお城がたくさんあるので歴史好きな方におすすめの観光地です。
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まとめ
バンバラ城は北海を見下ろす高台にあるお城でノーサンバーランドやイングランドの王室が所有していた長い歴史があります。現在はアームストロング家の所有するお城で一般公開もされています。バンバラ城はスコットランドから近いのでエディンバラ観光や周辺のアーニック城などと一緒に観光することをおすすめします。