リンカーン大聖堂はイギリスのリンカンシャーにあるゴシック様式の大聖堂で、11世紀初頭に建設が始まり主に12世紀から14世紀にかけて建設されました。最初の大聖堂は1068年から1072年にかけて建てられ、その後何度か改築が行われました。リンカーン大聖堂は壮大なゴシック様式建築で知られるだけでなく、歴史的にも重要なマグナ・カルタを保管していることから多くの観光客が訪れます。また、映画ダ・ヴィンチ・コードのロケ地にもなったことで人気に拍車がかかりました。
リンカーン大聖堂の特徴
リンカーン大聖堂はその美しさと歴史的な重要性から、観光客や信者にとって魅力的な場所となっています。
ゴシック様式の美しさ: リンカーン大聖堂は、その優美で壮大なゴシック様式の建築で知られています。特に、細部にわたる彫刻や尖塔、バラ窓などが印象的です。
高い尖塔: 中世の時点で、リンカーン大聖堂の中央塔は世界で最も高い建築物の1つでした。この尖塔は、その後の修復や強化工事を経て現在もその威容を誇っています。
マグナ・カルタの所持: リンカーン大聖堂は、13世紀初頭にマグナ・カルタ(大憲章)を保管していたことで知られています。この重要な歴史的文書が一時期ここに置かれていたことは、大聖堂の歴史的な重要性を示すものです。
ステンドグラス窓: 大聖堂内部には多くのステンドグラス窓があり、特に有名なのは「ジレスボローの窓」と呼ばれる13世紀の窓です。これらの窓は、宗教的な物語や聖書の物語を色鮮やかに描いています。
文化的重要性: リンカーン大聖堂は、文学や芸術においてもしばしば言及され、詩や絵画のインスピレーションの源となってきました。たとえば、アルフレッド・テニスンやジョン・ラスキンなどの作品に登場します。
リンカーン大聖堂(フロア)
西側正面:円形アーチの入口で、西正面側に2つの塔がある。
身廊:空間の荘厳さを保つため、ふだんは椅子を置いていません。 洗礼盤:ノルマン様式時代から伝わり、トゥーネ産大理石でできている。 ステンドグラス:上質なガラスで、主礼拝堂と東西面のガラスはビクトリア時代の作品。 軍関係戦没者記念礼拝堂 聖ヒュー記念聖歌隊席:聖ヒューはリンカーン教区主教、毎日夕の祈りが捧げられる。 天使の聖歌隊席:最上段の窓の下に彫られた28天使にちなんでいる。 回廊:丸天井は木製で珍しく、天井の装飾突起(ボス)は彫刻が施されている。 チャプター・ハウス:大聖堂の歴史の主な出来事が窓に描かれている。 図書室:1420年頃の古い図書室を、1674年にクリストファー・レンの設計で改装。 小礼拝堂:個人の祈りのための場所。 歴史財保存所 喫茶室 トイレ ギフト・ショップ |
リンカーン大聖堂 天使の聖歌隊席(レリーフ)
リンカーン・インプ
天使の聖歌隊席でいたずらしていたインプ(小悪魔)を注意しに現れた天使がいました。しかしインプは天使を挑発したため、天使によって石に変えられてしまいました。天使の聖歌隊席に来たら、この有名な小悪魔のレリーフを探してみましょう。また、インプのアクセサリーはラッキー・アイテムとして人気があります。 |
1072年にウィリアム1世(ウィリアム征服王)の命により大聖堂の建設が始まり、火事や地震で何度か大幅に立て直された。1192年以降にゴシック様式で再建され現在の形になりました。
住所:Lincoln Cathedral, Minster Yard, Lincoln, LN2 1PX
行き方:リンカーン駅から徒歩20分
オフィシャルサイト
リンカーン大聖堂の歴史
ノルマン朝の初代イングランド王ウィリアム1世(在位1066年~1087年)によってリンカーン大聖堂の建設が始まりました。大聖堂は丘の上にあり、古くからの都市を見下ろしています。当時のリンカーン大聖堂の中央塔には尖塔が備わって160メートルの高さがあり、世界で最も高い建築物であった。(その後、尖塔は嵐で吹き飛ばされて撤去)
リンカーン大聖堂とウィリアム1世
エドワード懺悔王の後継者を巡る争いが発端。フランスのノルマンディー公ギヨーム2世(ウィリアム1世)が、当時のイングランド王ハロルド2世の軍をヘイスティングズの戦いで破り、イングランドを征服。1066年ウェストミンスター寺院でイングランド王ウィリアム1世(ウィリアム征服王)として戴冠しました。
リンカーン大聖堂とマグナ・カルタ
リンカーン大聖堂はマグナ・カルタ(大憲章)の保管場所として知られ、マグナ・カルタの原本が展示されています。リンカーン大聖堂とソールズベリー大聖堂に各1点、大英図書館に2点保管されています。
1215年にイングランド王ジョンが承認・調印した(前文と63か条から構成される)文書。国王の徴税権、法による支配などをジョンの家臣たちが強制的に制限し、イギリス憲法の基礎となったと言われています。
ジョン王にまつわる作品 シェイクスピアの歴史劇『ジョン王』(The Life and Death of King John)
中世イギリスの伝説『ロビンフッド』に登場するジョン王子
リンカーン大聖堂(ダ・ヴィンチ・コード)
リンカーン大聖堂は壮大なゴシック様式建築とマグナ・カルタの保管場所として有名ですが、映画「ダ・ヴィンチ・コード」のロケ地となったことで人気に拍車がかかり、最近では映画ファンがたくさん訪れるようになりました。
ウィンチェスター大聖堂も映画撮影に使われました。
ウィンチェスター大聖堂はイングランド国教会の大聖堂で、ノルマン様式とゴシック様式の融合が見られます。この聖地はウェセックスの中心地にあった7世紀の小さなアングロ・サクソン大聖堂「オールド・ミンスター」として始まり、何世紀にもわたって神を崇拝[…]
映画「ダ・ヴィンチ・コード」ではラングドンとソフィーがアイザック・ニュートンのお墓を探しにウェストミンスター寺院にやって来ます。ウェストミンスター寺院内での撮影許可が下りなかったため、リンカーン大聖堂で撮影が行われました。
身廊(nave)
ロンドンにあるウェストミンスター寺院内の撮影シーン
右の写真が実際のウェストミンスター寺院で、左の写真がリンカーン大聖堂です。
回廊(cloister)
ラングドンとソフィーが犯人に脅され、回廊を通ってチャプター・ハウスに向います。(リンカーン大聖堂)
チャプター・ハウス(chapter house)
犯人に脅されてクリプテックスの謎を解く場面です。(リンカーン大聖堂)
まとめ
ゴシック様式のリンカーン大聖堂は、壮麗な美しさだけでなくイギリスの歴史や文化を語る上で重要な役割を果たしてきました。マグナ・カルタの原本を保管し、文学や芸術にも多大な影響を与えてきました。映画ダ・ヴィンチ・コードの撮影にも使用されたことから人気観光スポットになっています。