英語を学ぶ上でボキャブラリーと文法はきわめて重要です。例えば、文法的な知識があったとしてもボキャブラリーを知らなければ文を作ることができません。逆に言えば、ボキャブラリーをたくさん知っていても文法的な知識がなければそれを適切に配列し、意味のとおる文を作ることができません。ボキャブラリーと文法は英語を学習する上でどちらも欠かせない要素です。
しかしボキャブラリーを増やすのは時間がかかり努力が必要です。どうすれば効率よく覚えることができるのでしょうか?英語学習者は使用頻度の高い約3,000語レベルの語彙を覚える必要があります。今回はボキャブラリーの増やし方と定着させるコツを解説しました。
ボキャブラリーの増やし方
一般的に言えば、知っているボキャブラリーの数が多ければ多いほど英語を話したり書いたりする上で有利になります。実際、語彙が豊富な人はさまざまなことを英語で表現することができるため、英語が堪能だと思われます。しかし、外国語として英語を学んでいる私たちがボキャブラリーを増やすことは容易ではありません。辞書に載っているボキャブラリーを全て暗記することは困難であり非現実的です。
・英語学習において目標とするべきボキャブラリー数
それでは、私たちは一体どのくらいの語彙を知っていれば良いのでしょうか?
英語を母語とするネイティブスピーカーの場合、個人差があるのですが約20,000 語(ファミリー)知っていると言われています。
ファミリーとは?
例えば、healthという単語を知っていたとします。その単語に付随する派生語(healthy, healthful, healthfully, healthfulnessなど)を含めて1語と数えます。(5語とカウントしません)
英語を母語とするネイティブスピーカーと同等数のボキャブラリーを身につけることは大変です。
英語を学習している私たちにとって、まずは使われる頻度の高い語彙を知っておく必要があります。
・ボキャブラリーの使用頻度
一般的に、約2,000語(ファミリー)知っていれば書かれたテクストの80%をカバーすると言われています。
それプラス、文脈から推測できる未知語を含めて使用頻度の高い約3,000語レベルの語彙をクリアする必要があります。当面英語学習者は、このレベルのボキャブラリーを覚えることから始めます。
→その後、徐々に語彙レベルを上げていきます!
・ボキャブラリーの種類
ボキャブラリーは大別すると、聞いたり読んだりする場合にのみ理解できる語彙(理解語彙)と話したり書いたりする場合にも使用できる語彙(発表語彙)があります。
一般的には、理解語彙数の方が発表語彙よりも大きく上回ると言われています。
理解語彙とは?
リスニング、リーディングなどで理解できる語彙(受容)
発表語彙とは?
スピーキング、ライティングなどにも使用できる語彙(産出)
→英検1級レベルの使用頻度の低い語彙は理解語彙です。会話等で使うことはあまりなく、読んだり聞いたりして意味が分かれば良い。
ボキャブラリーの増やし方(勉強法)
英語学習者は、まずは使用頻度の高い3,000語のボキャブラリーを覚える必要があると分かりました。
ただ単語の意味を覚えれば良いのでしょうか?
第二言語習得論から説明すると「単語を知っている」という定義は意味が分かるだけではなく、どのように発音されるか、スペル、コロケーション、文法的機能(文型)等まで含みます。
コロケーションとは?
ある単語がどのような語と一緒に使われるのかということ
give an opinion(〇)
say an opinion(×)
・知らない単語の攻略法
知らない単語を覚えるとき、語の接頭語や接尾語などから判断する、文脈から推測する、辞書で調べる、知らないまま無視しておくなどさまざまな方法があります。
使用頻度の低い難解な単語の場合、その都度辞書で調べるのは効率が悪い上、普段あまりお目にかからないのでそのままにしておきます。
英語を学習する際、まずは使用頻度の高い重要な単語を覚えることが先決です。
・辞書を使った覚え方
知らない単語を覚えるのに辞書は欠かせないツールです。辞書を引けば単語のスペル、意味、発音、品詞、語法、コロケーションなどが分かります。英和辞書を引くと、英語と日本語が対になっていてその訳語が書かれています。(二言語辞書)
英和辞書は多くの学習者に利用されており英語と日本語が1対1となって説明されているので便利ですが、必ずしも英語と日本語が対になるとは限りません。
また、いつも英語から日本語(母語)に変換して意味を理解しているため、真の英語の意味を理解している訳ではありません。ある程度学習が進んだら、英和辞書から英英辞書に切り替えることをおすすめします。
おすすめの辞書は後ほどご紹介します!
・語源から単語を覚える
英単語の効率的な覚え方は語源からです。無味乾燥な単語を覚えるのは大変な上、覚えてもすぐ忘れてしまいます。同じルーツの単語を関連づけて芋ずる式に覚えればボキャブラリーを増やすのに大変役立ちます。
ad-(~の方へ、~の方を)
con-, com-, co-(共に)
de-(離れて、下に)
sub-(下に)
sur-, super-(上に、超えて)
ex-(外に)
pro-, pre-, for-(前に、前で)
re-(再び、元に、後ろに)
in-, im-, en-(中に、上に)
ab-, dis-, se-(分離、否定、反対)
un-, im-, in-, a-(否定)
mono-, uni-, bi-, du-, tri-, multi-(数)
・文脈から推測する
リーディングで知らない単語が出てきても前後の文脈や情報のつながりなどを手掛かりにして単語の意味を推測します。
日頃から英文に慣れ親しんでおき、さまざまなタイプの英語を読む習慣をつけましょう。
英語は読めば読むほど読解力がつき、ボキャブラリーも増えます。
・難解な単語は対訳丸暗記でOK
語彙レベルの高い単語や専門用語などは英語と日本語の意味が対になっていることが多いので訳語丸暗記でもかまいません。
英語の基本語ほどさまざまな使われ方をするので、その場合丸暗記ではなくなるべく英文の中からどのように使われているのか理解する必要があります。
・ノートテイキング
英単語を覚えるには、ただ単語帳を眺めているだけではなく音読したりノートに書き出したりして五感をフルに使うと定着が良いと言われています。ノートに書き出すとスペルも覚えられますが、難点は時間がかかります。
・反復ストラテジー
人間の記憶は反復しないと忘却してしまいます。
一生懸命ボキャブラリーを覚えても一週間後には忘れてしまっているかも知れません。
そのため、覚えた単語を定着させるためには何度も反復する必要があります。
・単語帳を繰り返し反復して覚える
・インデックスカードを用いて繰り返し覚える
・英単語のアプリなどを利用して繰り返し覚える
人の記憶は時間とともに変化します。「エビングハウスの忘却曲線」とは忘却のメカニズムを数値化したもので時間の経過とともに人は記憶したものを忘れていきます。
上の図にもあるように1日後に覚えている割合は34%、6日後には25%、1カ月後には21%しか覚えていません。よって人は学習したものを覚えておくために反復して復習する必要があります。
◆覚えたものを定着させるために必要な復習のタイミング
1日後に10分
1週間後に5分
1カ月後に2~4分
ボキャブラリーの増やし方(おすすめ辞書・アプリ)
英語学習者におすすめの辞書やアプリをご紹介します!
・英語学習者に人気のある英和辞書
『ジーニアス英和辞典』は英語学習者には定番の辞書です。
利便性を考えると、紙の辞書よりもPCやスマホで利用できる電子辞書やアプリがおすすめです。
その他には『ウィズダム英和・和英辞典』もおすすめのアプリです。
ジーニアス英和(第5版)・和英(第3版)辞典 for Win|ダウンロード版 新品価格 |
評価: 4.5ジーニアスもウィズダムも語法に強い辞書です。私は辞書を引くと必ず語法を確認します。どちらも解説が丁寧でどのように使われるのか分かり易くて重宝しています。例えば、remind(気づかせる)という単語はジーニアスで調べてみると「remind (人)of/about(物・事)」「(人)に(物・事)を気づかせる、思い起こさせる」となっています。辞書を引いて意味が分かるだけでなく、このように単語の並べ方を知っているとスピーキングやライティングに役立ちます。
「ウィズダム英和・和英辞典 2」
三省堂「ウィズダム英和辞典 第3版」と「ウィズダム和英辞典 第2版」をセットにした電子辞典です。前作の「ウィズダム英和・和英辞典」と合わせて累計30万本以上販売されている App Store のベストセラー英和・和英辞典アプリです。
「ウィズダム英和辞典 第3版」
コーパス(大規模英語データベース)を全面活用した、現代英語と語法に強い上級英和辞典、待望の改訂第3版。類義語解説・重要コロケーションなどを大幅増補し、項目数は類書中最大級の約10万2千項目。各種のコラムにより、日常学習・受験対策をあらゆる角度からサポート。重要な単語やイディオムについて約4万項目の音声を収録。
・英英辞書を使おう!
ある程度学習が進んだら、英和辞書から英英辞書を使用することをおすすめします。
特にライティングでは英英辞書を使わないと誤った英文を書いてしまう恐れがあります。
私のおすすめは、『メリアム・ウェブスター英英辞典(Learner’s用)』と『ロングマン現代英英辞典』です。
その他には『新編英和活用大辞典』が良いです。これは英和辞典となっていますが英文ライティングに役立ちます。
見て、聞いて学べる“学習用英英辞典”として最適!
豊富な単語と例文のネイティブ音声に加え、シソーラス(類語)とコロケーション(連語)情報が充実。iPhoneでもiPadでも快適にご利用頂ける、学習用英英辞典の決定版です。
語義の説明には基本語彙2000語のみを使用。初級者でも理解しやすい説明になっています
話し言葉、書き言葉で使用頻度の高い単語3,000をわかりやすくマークで表示
評価: 5.0英語学習者向けの辞書で基本語彙2000語で説明されているのでとても分かり易いです。ロングマンで調べてみるとremindは「to make someone remember something that they must do」という意味です。使い方として「remind somebody about something」の説明と例文「The girls constantly had to be reminded about their chores.」もあります。個人的には上級単語を覚えるよりも句動詞をきちんと使いこなす方が難しいので動詞とセットにして覚えるようにしています。また、この辞書はコロケーションも充実していてとても使いやすいです。
・英単語アプリ
手っ取り早くボキャブラリーを増やしたいなら『英単語アプリmikan』がおすすめです。
ランダムに英単語が表示され、正しい意味を4択の中から選びます。
遊び感覚で覚えられるので苦痛がありません。
また、自分でオリジナルの辞書が作れる『reminDO』も便利です。
私は手書きでノートに書き出すよりもこのアプリに英単語を登録して反復して覚えています。
まとめ
ボキャブラリーが豊富であれば読んだり聞いたりするだけでなく、話したり書いたりする際にも大変役立ちます。語彙を習得するには何度も反復したり、文脈の中から真の意味を理解する必要があります。語彙レベルや使用頻度によって英単語の覚え方のコツがあります。語彙を知らなければ英語を理解することができません。まずは基本的な3,000語レベルの語彙を覚えて徐々にレベルを上げていきましょう。