【初心者編】1週間で小説が書けるようになる書き方のポイントを解説

今回はライティングの書き方の中でも「小説」を書いてみたい人に向けて細かくその手順を説明しています。文章には種類によって書き方のルールがあります。例えば、英語の論文などでは結論は一番最初に書きますが、小説の場合は構成が「起承転結」になっているため結論は必ず一番最後に書きます。その他にも細かいルールがあるので、初心者でも小説が書けるよう実際にOヘンリーの短編小説を例にあげてプロットの書き方を掲載しました。

 

初心者編・小説を書くプランの立て方

 

自分で何か物語を書いてみたい人は書き方の手順を知っておく必要があるので、簡単にその手順をまとめました。

 

◆小説の書き方の手順

  1. プロットを考える
  2. キャラクターを設定する
  3. 物語の視点を決める
  4. ストーリーの種類を決める

 

 

・小説のプロットとは?

 

プロットとは簡単に説明するとお話作り、全体の設計図のこと。あらすじとは違って物語の前後関係や因果関係をハッキリ示したもので、小説の構成は「起承転結」となります。

 

プロットを考える際、「ハコガキ」を作ります。ハコガキとは元々映画のシナリオを書く際に用いられていた方法です。メモ用紙に物語を場面ごと(下記参照:シーン1~8)整理し、書いていきます。ハコガキを作る理由は事前に話題を振っておく前フリ、伏線、ドラマを作り上げるためです。

 

プロットを考える際、テーマや題材など「自分の考えやアイデア」を書き留めておきましょう。

 

プロットには必ずこれらの要素を入れましょう。 何が起こったのか?(出来事) その理由は? どこで?(場所) いつ?(時間)

 

 

 

伏線とは?

唐突さをさけるため、あらかじめヒントを小出しにしておく作業のこと。不自然なほど主人公に都合良く(悪く)出来事が進むと読み手はシラケてしまうため、伏線を張っておきます。

 

 

・キャラクターの設定と視点

 

物語のメインとなる主人公と登場人物を決めます。そして、ストーリーを進行する際にどこに視点(カメラ)を置くのか決めなければなりません。視点は人称と切り離せない関係にあり、登場人物の一人が話の進行係となります。

 

一人称の小説: 私、僕、俺など

二人称の小説: あなた、君など

三人称の小説: 彼、彼女、太郎など「頭越しのカメラと離れたカメラ」

 

◆例えば一人称の小説の場合、常に「私・僕」がカメラを構えているので自分の知っている範囲の出来事しか書けません。そのため、自分の知っていること以外は推定することになり、物事を断言できません。

 

◆三人称の小説の場合、頭越しのカメラと離れたカメラの2通り書き方があります。

頭越しのカメラは章ごとに頭となる人物を別の人物と変えても構いません。第1章では犯人の視点から、第2章では刑事の視点から、という具合になります。

 

離れたカメラは俗に「神の視点」とも言われています。誰の心の中にも自由に入っていけます。例えば「Aはこう思った。Bはこう考えた」と断言できます。心の中を描く場合、一人称の視点と基本的に同じですが私や僕が視点の場合「Aはこう思った」しか書けず、Bのことは「~らしい」と推定で書きます。

 

 

視点を決める際に重要なのは、カメラはどこにあって、その話はどこから見ているかを意識して描きましょう。

 

 

・ストーリーの種類を決める

 

ストーリー(文章)は大きくわけてフィクションノン・フィクションに分けられます。フィクションは事実や現実とは異なる世界を書いており、オリジナル小説や詩、戯曲、シナリオ等があります。

 

ノン・フィックションは実際の出来事や事件、人物などについて書かれた文章です。歴史小説や新聞、雑誌記事、インタビュー、書評等があります。

 

 

 

 

初心者編・小説の書き方を解説― Oヘンリー『福の神と恋の神』(Mammon and the Archer)

 

ここでは実際にOヘンリーの短編小説を取り上げてプロット/ハコガキを説明しています。プロットは起承転結になっていてシーン1~8まであります。プロットの下に本文も掲載していますが長い箇所は省略してあります。

 

赤字は、場所や時間のヒントとなる箇所

青字は、シーンに登場する人物

黄色のハイライトは、主な台詞(登場人物の性格、心理)

グレーのハイライトは、前フリや伏線

 

*シーン1~8の「出来事」だけをつないで読んでみるとプロットとしてまとまりのある文章になっています。逆に出来事だけを読んで不明な点が残るとハコガキとして欠落があるということです。

 

 

シーン1(起)物語の設定・世界観

場所:ロックウォール翁の邸宅の書斎

時間:11月の平日、午前中

人物:ロックウォール翁、隣に住むサフォーク=ジョーンズ、召使いのマイク

出来事:ロックウォール翁が、窓から隣人の上流クラブ会員に毒づき、召使いに自分の息子を呼ぶよう命じる。

 

*シーン1の時間について具体的に本文の中では言及していませんが、赤字がヒントとなっています。シーン1で季節や時間をハッキリさせておかないと読み手は頭の中で物語の絵を想像することができません。物語の世界観や登場人物の性格や心理、背景などきちんと描写しておく必要があります。

 

ロックウォールズ・ユリーカ石鹸の前工場主であり、経営者でもあったアンソニー・ロックウォール翁は、五番街にある邸宅の書斎の窓から外を眺め、苦笑した。右隣に住む上流クラブ会員、G・ヴァン・スカイライト・サフォーク=ジョーンズが見えたからだ。いつものようにジョーンズは、石鹸御殿の正面にある小山へ据えられた、イタリアン・ルネッサンス風の彫刻を見て、無礼な皺を眉間によせ、御付の車へ向かっていくところだった。

「高慢ちきのくたばりぞこないが!」と、かつての石鹸王は毒づいた。「うかうかしておると、そのいかさない冷凍ネセルローデ(ロシアの貴族)がエデン博物館(フランスにあるロウ人形館)に収容される日も遠くはないぞ。次の夏には、このわしの邸宅を赤、白、青に塗り替えようぞ。あいつのくたびれたオランダ鼻柱がへし折られる、楽しみじゃ」

 それから呼び鈴が嫌いなロックウォールは、書斎の入り口まで行き、かつてカンザスの大草原で、天地を轟かした大声で「マイク!」と怒鳴った。

「せがれに言うてくれ」アンソニーは召使に言った。「出かける前にここへ来いとな」

 

 

 

シーン2(承)物語の経過・問題の発端

場所:同じく邸宅の書斎

時間:シーン1の続き、昼間

人物:ロックウォール翁、息子のリチャード

出来事:父子は金の価値について意見を交わす。息子は金で解決できないことがあると主張し、父は金で買えないものはないと反対する。息子が父に恋の悩みを告白する。自分の気持ちを相手に伝えるチャンスも時間もないと。

 

ロックウォール青年書斎に入っていくと、翁は新聞を脇へやり、彼をじっと見つめ、片手でぼさぼさの白髪頭をかきむしり、もう片方の手でポケットの中の鍵束をじゃらつかせた。髭のない大きな赤ら顔は、親しげで、すごみがあった。

「リチャード」アンソニー・ロックウォールは言った。「おまえは石鹸にいくらつかっとるか」

 大学を出てまだ半年リチャードは、ややまごついた。彼はいまだにこの父がつかめなかった。さながらパーティーに参加する少女のように、何をしでかすかまったくわからない存在なのだった。

(途中省略)

「金では解決できないこともあるよ」ロックウォール青年は、やや気落ちした感じで行った。

「何を言っておる!」アンソニーは呆れかえって言った。「わしはいつでも金に金を賭けておるぞ。金で買えないものがあるのかどうか、百科事典をずっとYの項まで調べているほどだ。来週には付録のところまで見ねばならんだろうな。すべてを敵にまわしても、わしは金を見方につけるぞ。金で買えないものがあるなら、教えてくれんか」

(途中省略)

「ぐずぐずしすぎたんだ。僕。彼女はあさっての午後、船でヨーロッパへ行ってしまう。二年は戻らない。会えるのは、明日の夕方ほんのちょっとだけなんだ。彼女は今、ラーチモントのおばさんの家にいるから、会いには行けない。でも明日の夜、汽車で戻る彼女を、迎えに行くことは許してもらった。彼女は八時半にグランド・セントラル駅に着くから、僕は辻馬車で向かう。そこから彼女を連れて、大急ぎでブロードウェイを抜け、ウォラック座へ。彼女のお母さんや、いろんな人が、ロビーでぼくらを待っているからね。せいぜい六分か八分そこらの時間で、彼女に告白できるなんて思う? 無理だよ。劇場やそのあとでも同じことさ。チャンスなんてない、ありえないよ。これはお金ではときほぐせない、もつれなんだ。時間はたったの一分だって、お金では買えないんだ。それができるんだったら、金持ちはずいぶん長生きしてるはずさ。出航前に、ミス・ラントリーとまともに話をすることなんて、叶わぬ夢なんだ」

(途中省略)

 

 

 

シーン3

場所:ロックウォール翁の邸宅

時間:その晩

人物:ロックウォール翁、妹のエレン叔母

出来事:エレン叔母は、ロックウォール翁に、恋人たちの嘆きについて演説する。

 

その晩エレン叔母が、夕刊を読んでいる兄アンソニーのもとへやってきた。優しく、涙もろい、有り余る富で滅入っている皺だらけのこの老女は、恋人たちの嘆きという題目で、演説をはじめた。

(途中省略)

「まあ、アンソニー」エレン叔母はため息をついた。「そんなにお金のことばかり考えるのはやめてちょうだい。真実の愛に、富が割り込む余地なんてなくってよ。愛は全能なの。あの子がもっと早く言ってくれてたらねえ! うちのリチャードだったら、きっとうまくいったはずだろうに。でももう、今となってはの話だけれど。プロポーズの機会なんて、もうきっとないでしょうね。あなたの金貨をすべて積んだって、あの子を幸せにすることはできないわ」

 

 

 

シーン4

場所:(ロックウォール翁の邸宅)

時間:明日の夜、八時

人物:エレン叔母、リチャード

出来事:エレン叔母はリチャードに、彼の母親から頼まれた、幸せな恋をもたらすという指輪をわたす

 

明日の夜八時エレン叔母は虫食いのある箱から、シックな古い金の指輪を取り出し、リチャードへ与えた。

「リチャード、今夜はこれをはめてちょうだい」彼女は頼んだ。「あなたのお母さんがくれたものなの。幸せな恋をもたらすそうよ。あなたが大事な人を見つけたら、これを渡すように頼まれていたの」

 ロックウォール青年はうやうやしく指輪を受け取り、一番細い指にそれをはめようとした。指輪は第二関節でひっかかってしまった。男の流儀にならい彼は、指輪を外し、ベストのポケットへしまいこんだ。それから電話で馬車を呼んだ。

 

 

 

シーン5

場所:グランド・セントラル駅

時間:八時三十二分

人物:リチャード、ミス・ラントリー

出来事:リチャードは駅でミス・ラントリーを馬車に乗せ、ブロードウェイへと急ぐ。

 

彼は、にたむろする騒がしい群衆の中から、ミス・ラントリーをかっさらった。八時三十二分だった。

「ママやほかの人を待たせちゃいけないわ」と彼女。

「ウォラック座へ大急ぎで!」力強くリチャードは言った。

白い星の灯りがまたたく細い路を、二人を乗せた馬車は、四十二丁目ブロードウェイ目指して疾走した。夕陽の沈む穏やかな草原から、朝日射す険しい岩の丘へ向かうように(西から東へ)。

 

 

 

シーン6(転)意外な展開、問題が起こる

場所:三十四丁目

時間:(その数分後)

人物:リチャード、ミス・ラントリー

出来事:リチャードは指輪を馬車の外へ落してします。指輪は見つかるが、その間に道は大渋滞。ミス・ラントリーは、指輪を見せてくれるよう頼む。

 

三十四丁目でリチャードは、あわてて馬車の屋根を上げ、御者に止めろと命じた。

「指輪を落しちゃったんだ」外に出ながら彼は弁解した。「母の形見だから、失くすわけにはいかないんだ。大丈夫、一分と手間はとらせないよ。落ちた場所はわかっているから」

 一分もしないうちに、指輪を手にし、彼は馬車へと戻ってきた。

 その一分に満たないあいだに、往来する車が、馬車のまん前で止まってしまった。御者は左へよけようとしたが、大きな貨物車にさえぎられた。

(途中省略)

「進めないの?」堪えきれずにミス・ラントリーは言った。「遅れてしまうわ」

(途中省略)

「ほんとうにすみません、」リチャードは言い、ふたたび腰掛ける。「どうやら立ち往生みたいです。あと一時間はごたごたしたままでしょう。僕のせいだ。指輪なんか落さなかったら、僕らは・・・・・・」

「指輪を見せて」ミス・ラトリーは言った。「どうにもならないんだもの。どうだっていいわ。どっちみちお芝居なんて、くだらないんだし」

 

 

 

シーン7 解決策

場所:アンソニー・ロックウォールの部屋

時間:その夜の十一時

人物:ロックウォール翁、エレン叔母

出来事:エレン叔母は、リチャードとミス・ラントリーが婚約したことを告げる。

 

その夜十一時、アンソニー・ロックウォールの部屋の扉を、軽やかにノックする者がいた。

「おはいり」赤い化粧着を羽織り、海賊冒険譚を読んでいたアンソニーが大声で言った。

 ノックしたのはエレン叔母だ。彼女はまるで、なにかの間違いで地上におき去られた、白髪の天使のようだった。

「二人は婚約したわ、アンソニー」彼女は優しく言った。「うちのリチャードと結婚するって、彼女は約束したの。劇場への途中でひどい交通渋滞にあって、あの子達は抜け出すのに二時間もかかったそうよ。

(途中省略)

車が取り囲まれていたあいだに、あの子は彼女へ愛を打ち明けて、成就させたの。真実の愛に比べれば、お金なんてくずよ、アンソニー」

「わかったよ」アンソニーは言った。「あいつが欲しいものを手に入れることができて、わしも嬉しい。あいつには言ったが、もしものときには出し惜しみはせ・・・・・・」

「でもね、アンソニー兄さん、あなたのお金が、いったい何の役に立ったと言うの?」

(途中省略)

 

 

 

シーン8(結)エンディング

場所:ロックウォール邸の書斎

時間:翌日

人物:ロックウォール翁、ケリーと名乗る男

出来事:渋滞を巻き起こすよう頼まれたケリーは、その詳細を報告し、ロックウォール翁は、前渡し金の不足分と報酬を支払う。

 

翌日、赤い手をし、青い水玉模様のネクタイをしたケリーと名乗る男ロックウォール邸を訪れ、すぐに書斎へ通された。

「ふむ、」小切手帳を手にし、アンソニーは言う。「ご苦労だったな。ええと、おまえには五千ドルを現金で渡してあったな」

(途中省略)

「・・・。しっかし、いい仕事ぶりだったでしょう? あのちょっとした愚連隊の騒ぎが、劇作家のウィリアム・A・ブラディに見つからなくってよござんした。

(途中省略)

「おまえは、気付かんかったかね」とアンソニー。「その渋滞にはまったとき、裸の、ふとった男の子みたいなのが、弓で矢をあちこちに放ってはおらんかったか?」

「はあ、いいや」不思議そうにケリーは言った。「気付きませんでしたね。もしそんな奴がいれば、おそらくあたしが着くまえに、おまわりにパクられてるでしょうよ」

「わしもそんな悪ガキ、おりはせんと思ったね」とアンソニーはくすくすと笑った。「さようなら、ケリー」

 

 

本作品はOヘンリー短編集『四百万(The Four Million)』に収録されています。

Oヘンリーはアメリカの短編作家で『最後の一葉』や『賢者の贈り物』が有名です。

 

 

参考:雷鳥社

1週間でマスター 小説を書くための基礎メソッド

小説のメゾッド〈初級編〉奈良裕明

 

 

 

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まとめ

 

今回はライティングの中でも小説を書いてみたい人に向けて書き方の手順やプロットの作り方を解説しました。クリエイティブ・ライティングに興味がある人は挑戦してみてください。楽しいですよ!書いた作品はアマゾンのKindle(KDP)を利用すれば無料で出版することができます。

 

 

 

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